第17章 危険な企み
「あー、よかった。すごく、似合ってるよ。」
朝。
玄関でランドセルをかるった勇人君を眺めながらあたしは興奮していた。
否、変な意味じゃなくて。
今、勇人君は棗の小学生の時の服を着ている。
髪の毛も綺麗にしてみれば、幼さのある可愛い男の子だ。
少々、女の子っぽい顔をしている。
「………。」
誠也君はジッと勇人君を見ていた。
無言で。
「どうしたの?」
あたしはそれを不思議に思い尋ねた。
「…いや。おい、ガキ。テメーの親の写真あるか?」
「…え?」
「だから、親が写ってる写真あるかっつってんだろ。」
彼が制服のポケットから煙草を取りだしくわえた。
「なんで?」
あたしは彼を見た。
「兵隊達に探させる。」
そう言って、彼はジッポーで火を着けた。
「………いい。」
勇人君が俯いて呟いた。
「…え?お父さんとお母さんに会えるんだよ?嬉しくないの?」
あたしは驚いて勇人君を見た。
「あんな奴等大嫌いだっ!!」
そう叫ぶと勇人君は家を飛び出した。