第17章 危険な企み
「何してんだ、お前。」
湯船に浸かっている彼が言った。
隣で浸かっている勇人君もジッとあたしを見ている。
一方のあたしはというと、浴室のドアからジッと彼等を見ている。裸で。
「いや…その…あの…。」
三人で入ろうと言ったのは自分だ。
けれど、考えてものを言うべきだった。
彼の裸は何度も見たことある。
彼もきっとそう。
でもなんだろう。
なんでこんなに恥ずかしいの?
「はやく来いよ。」
彼が手招きしている。
行きますとも、行きますとも。
気持ちは。
しかし、足が進まない。
がんばれあたし。
勇気を出すんだ。
「………。」
あたしはゆっくりと浴室に入った。
両手で隠しきれない身体を隠す。
「…………。」
彼はジッとあたしを見た。
そして、ゆっくりと目を反らす。
「ガキ、お前は見るな。」
彼が勇人君の目を手で覆った。
あたしは急いで桶で身体を流すと湯船に浸かった。
彼の横に。
「………。」
妙に体が密着する。
というか、彼の肘が当たってる。
胸に。
「………。」
会話がない。
「…………。」
「………ガキ、身体洗え。」
「……うん。」
勇人君が湯船から上がると、彼は横にずれた。
「………。」
また、会話がなくなる。
ただ、シャワーの音が聞こえるだけだ。
「………。」
下を見ちゃダメだ。
上を見るんだ。
あたしは上を見上げた。
長い髪が湯船にさらにつかる。
湯船の中で髪が泳いでいた。