第17章 危険な企み
あたしは部屋に入ると必要な物を持ち手が伸びるあまり大きくないスーツケースにつめた。
詰めすぎたのかスーツケースがパンパンだ。
まるで旅行だ。
その為階段から下ろすのが大変だった。
「おまたせー、あれどうしたの?」
リビングに戻ると彼が飾ってあった写真を見ていた。
しかも、険しい顔で。
「どうしたの?」
荷物を置いて彼に近付く。
「この男―――。」
バン――
「桜ー!!」
突然リビングの扉が開いた。
棗だ。
あたしに後ろから抱きついてくる。
更に彼が不機嫌になった。
「めっちゃ好きー。」
棗があたしの首に顔を埋める。
「テメェ………。」
誠也君は写真を置くと拳を握った。
ヤバい。
あたしは思った。
彼は何か勘違いしている。
「あのね、あたしのおと―――」
「桜、ちゅーしよ。」
「………殺す。」
とうとう、棗は彼の逆鱗に触れた。
彼の後ろに般若が見える。
「……あれ、お客さん?」
棗が誠也君に気付いた。
今頃かいっ!!
て思う。
「つか、…秋本――」
バコツ―――
棗の顔面に誠也君の拳が入った。