第17章 危険な企み
「すいませーん。あの…すいませーん。」
先ほどから、10号室のドアを叩くが誰も出ない。
「お父さん…お母さん……いない。」
誠也君のズボンを掴んでいる勇人君が呟いた。
「…ガキ、どういうことだ?」
彼が勇人君に尋ねた。
「……ずっと、パチンコ…に行って…帰ってこない。」
勇人君が俯いた。
「いつもご飯どうしてるの?」
あたしは勇人君の前に屈んで尋ねた。
「カップラーメン…か…パン…。」
「え…。」
あたしは驚いた。
こんな育ち盛りの男の子にカップラーメンかパンしか与えないなんて。
しかも、子供を放ってギャンブルにのめり込むとは、なんて最低な親なんだろう。
「……世の中そんな親もそこら辺にゴロゴロいる。いちいち構ってたらキリがねぇ。」
誠也君は煙草をくわえてジッポーで火を着けた。
「なんで、そんなこと言うの?」
あたしは誠也君の方を見た。
「…………たく、わかったよ。」
彼は観念したように頭を掻いた。
「勇人君、お姉さんの家においで。」
再び屈んで勇人に言った。