第17章 危険な企み
「岩中興業にたてつくんか!!あぁん!?」
唾を飛ばしながら男が叫んでいる。
「岩中興業…だから?そんなん関係ねぇ。」
「いてててて!!」
彼が更に手に力を込める。
「きっきさん、何者や!?」
「ただの高校生に決まってん…だろうがよっ!!」
誠也君は片手で男を投げ飛ばした。
しかも、二階から下へ。
「ぎゃぁぁああ!!」
男の悲鳴が聞こえてくる。
慌てて下の階をみてみると粗大ゴミの上に落ちていた。
「放っとけ。人間、二階から落ちたぐらいじゃ死なねーよ。」
誠也君は落ちた男に興味なさそうに片腕を回していた。
こういう時の誠也君は本当に恐い。
「…大丈夫?恐かったね。」
あたしは震えている勇人君の頭を撫でた。
「………。」
勇人君は無言で誠也君の横に立った。
そして、彼のズボンを掴んだ。
「……おい、ガキ。」
彼が上から勇人君を見下ろしている。
やっぱり目は恐い。
けれど、勇人君は更に強く彼のズボンを掴んだ。
どうやら、彼が気に入ったらしい。
「………ったく。」
彼は困ったように頭を掻いた。
思わずあたしは笑ってしまった。