第17章 危険な企み
「伊中さーん、岩中興業でーす。集金にきましたー。」
四棟の二階にあがると掠れた男の声が聞こえた。
「伊中さーん……いるんだろーがよ、さっさあけんかいワレェ!!」
ドアを激しく叩いている。
あたしは何事かと思って近付いた。
10号室だ。
扉には"金返せ"とかかれた紙が張られている。
「……ん、そこのクソガキ。伊中んとこの息子だろ?グズ共はどうした?」
小さなバックをもったがたいのいい男がこちらを見た。
すると、勇人君は怯えてあたしの後ろに隠れた。
「…なんなんですか、あなた?」
あたしは男に尋ねた。
「このガキの親の借金回収に来たんジャ!!なんか文句あるんか!?あぁ!?」
男がガンをたれてくる。
「それって違法の取り立てでしょ!?」
「あぁ!?」
「だから違法でしょ!!」
あたしは叫んだ。
「やかましいわ、クソ女(アマ)!!」
男は拳を上げた。
あたしは目を瞑る。
殴られる!!
そう思った。
けど、なかなか拳が降りてこない。
あたしは不思議に思って目を開けた。
「クソが、俺の女に手出してんじゃねーゾ?」
黙っていた誠也君が男の腕を掴んでいた。