• テキストサイズ

レッテル 1

第17章 危険な企み




馬場団地はここからさほど遠くない所にある。
ただ、治安があまりよくない。
"泥棒団地"と言われている。
団地の周りもゴミだらけで、六階建ての建物も老朽化が進み、多くの在日の人や借金に負われている人がいっぱい住んでいる。
昔、そこには近寄ってはいけないと言われたことがある。
そこから学校に来ていた友達はよくイジメられていた。

"汚い"

と。

「お家、何棟の何号室?」

馬場団地の入り口で、男の子に尋ねる。

「四棟の10号室…二階。」

「わかった、行こうか。」

あたしは男の子の手を握ると歩き出した。
誠也君は黙って後ろをついてくる。

歩いているとすごい臭いがした。
山積みされた生ゴミや粗大ゴミから悪臭が漂ってくる。
思わず鼻をつまんでしまいそうだ。
本当にこんな所に人がすめるだろうか?

「そういえば、君名前何て言うの?」

男の子に尋ねる。

「…伊中 勇人(いなか はやと)。」

勇人君小さく応えた。

「お姉さん朝日 桜ていうの。あのお兄さんは秋本 誠也っていうんだよ。」

あたしは誠也君を指差した。

「………。」

けれど勇人君は見ずに俯いていた。

「………行こっか。」

あたしはまた勇人君の手を引いた。

/ 1026ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp