第16章 嫉妬とイジメ
「どうした?」
昼休憩。
あたしは誠也君と二年六組の彼の机でお弁当を食べていた。
彼とあたしのお弁当はあたしの手作りで。
といっても、ママに手伝ってもらったけど。
「え?」
お箸を持ってボーとしていたあたしは、彼の声に少し驚いた。
「なんか、すげぇボーとしてる。なんか…あったか?」
彼が心配そうに見ている。
「あのね…――」
あたしはさっきの事を彼に話した。
すると、彼はフッと笑った。
「さっきも言っただろ?あいつはまだガキなんだよ。」
そう言って、彼は赤いタコウインナーを口に入れる。
「なんで?」
あたしは、彼の言った言葉を不思議に思い首を傾げた。
「……ガキってさ、自分の思い通りにならなかったり気にくわない奴がいたら直ぐに手出すだろ?なんつーか、自分の気持ちをコントロールできねぇんだよ、まだ。」
「それでイジメるの?」
「あぁ、だろうな。…俺はイジメみてぇな卑怯な事はしねぇ。ムカつく奴がいたら一人で向かっていく。タイマンとかな。それが年上だろうが年下だろう強かろうが弱かろうが関係ねぇ。俺は、それを上田さんに教えてもらった。」
彼は真剣な顔で言った。
彼の一言一言が重くのしかかってくる。
なんだか、ドキドキした。
「そっか…。」
なんだか納得出来た。
あたしは、綺麗な卵焼きに箸を付けた。
「つーか、お前の作った弁当すげぇうめぇ。」
笑顔で彼はお弁当に箸をつけていく。
「よかった。」
そんな彼を見てあたしも笑顔になった。