第16章 嫉妬とイジメ
「あれー、吉田はぁー?」
俯いていると上から声がした。
見上げると松崎君がいた。
まったく、あんなことしといて白々しい。
あたしは彼から顔を背けた。
「おい、ブス。お前怒ってんの?」
隣に立った松崎君が胡座をかいてすわった。
「別に。」
あたしは彼の顔を見なかった。
今見たら叩きたくなるから。
後ろでは、まだ麻央と山中君が喧嘩している。
「ごめんて。」
彼があたしの肩を掴む。
「何が?」
「だからさっきの―――」
「じゃあ、なんで吉田君イジメるの!?」
あたしは彼の顔を見た。
多分あたしの眉間にシワがよっている。
彼は驚いた顔をしていた。
「………ムカつくから。」
あたしから目を反らすと、彼はボソリと呟いた。
「ムカついたらイジメいいの!?吉田君の気持ち考えたことある!?」
激しい口調で彼に問う。
「………なんでお前――」
「何?」
「…なんでアイツばっかりかばうんだよ!!あいつの事好きなんかよ!?」
彼も激しく言った。
でも、辛そうな顔をしている。
「違うけど…でもイジメは――」
「しるかよ!!アイツがわりぃんだ!!」
そう言って彼は立ち上がると、どこかへ行ってしまった。
「松崎!!」
あたしは彼を追いかけた。