第16章 嫉妬とイジメ
「さっさと立てよ。」
男子トイレを出ると、男の声が聞こえてきた。
それも、一人ではない何人もの。
「ガキくせぇ。」
隣にいる誠也君が呟いた。
窓の外を見ている。
あたしも、彼の見ている方を見た。
「あ……。」
中庭で男の人達が何かを囲んでいた。
しかも、蹴ったり殴ったりしている。
眼鏡が落ちた。
それを真ん中の人は必死に拾おうと必死だ。
中の人がしゃがんだ瞬間顔が見えた。
吉田君だ。
よく見てみると周りの人達は松崎君達だ。
"吉田イジメ"
前に千加が言っていた事を思い出した。
助けなきゃ。
あたしは、そこへ向かおうとした。
けれど、それは直ぐに阻止された。
誠也君の手によって。
彼があたしの手を掴んだのだ。