第2章 転落
「みつかったぁ?」
男子部屋のある階をキョロキョロしながら5人は歩いていた。
「6組の部屋全部回ったけどいなかったしね。」
がっかりしたように麻央が言った。
「麻央ドンマイ。」
「美奈ぁ…うー、男欲しぃ!!」
「あーうるせぇ、どけどけ雌豚ども。」
麻央が叫ぶと後ろから聞き覚えのある声がした。
振り向くと、松崎君と山中君、そしてうちのクラスではない不良ぽい人3人が立っていた
「だまれ、松崎。」
千加は激しく彼を睨み付けた。
「はっ、じゃまくせぇ。とくにブス、お前だよ。」
松崎君はあたしを見た
「うるさい!!」
あたしも彼を見た
「なんだよ?うぜぇーんだよお前。さっさと男に捨てられてろ。」
そういうと松崎はニヤリと笑った。
松崎君の友達の四人も笑っている。
あたしは悔しくて彼を激しく睨み付けた。
「あんたさぁ、そんなこと言ってさくちんの事気になるんでしょ?」
「は?」
千加の言葉に松崎君は笑うのを止めた。
「本当はさくちんの事好きなんじゃないの?」
続けて早苗が問う。
「ち…ちげーし。」
松崎君は眉間に皺をよせ、不機嫌そうに顔を背けた。
ほのかに顔が赤い気がする。
「秋本先輩とも別れて欲しいんでしょ?」
そんなことお構いなしに四人はグイグイと彼を問い詰める。
「何……いってるの?」
好きと、別れて欲しいとかそんな話ありえない
ましてやあんな奴が
「だからぁ、松崎がさくちんを好きだって。
美奈子がニタニタ笑ながら言った。
「あたしは……き」
「好きじゃねぇって言ってんだろ!!どけっ!」
松崎君はあたしの話を聞くことなく階段を降りていった。
「おい!!竜!!」
そのあとを彼の友達が追いかけていく。
「なにあいつ?」
その場に残された5人はキョトンとしていた。