第16章 嫉妬とイジメ
彼の所へ行くと、彼はいようなオーラを放っていた。
そのせいで益々周りの人が避けている。
隣の藤崎先輩は笑っていた。
「誠也君、あのこれ――。」
あたしが、ハチマキを差し出すと彼はハチマキを取らずにあたしの腕を掴んだ。
そして、立ち上がり歩き出した。
無言で。
どんどんと人のいない所へ進んでいく。
彼は誰もいない男子トイレの個室に入った。
カチャリと鍵を閉める。
そして、トイレの蓋の上に座らされた。
「せ…誠也君?」
彼が上から見下ろしてくる。
あたしはしたから見上げた。
二つに結ばれた髪がサラリと揺れた。
「………。」
彼は何も言わない。
ただ眉間にシワを寄せてジッとあたしを見つめるだけ。
なんで何も言ってくれないの?
なんだか恐くなってきた。
嫉妬深い彼。
束縛は激しい方。
大事にしてくれるのはうれしいけど、なんでそんな顔してるの?