第16章 嫉妬とイジメ
次はあたしの番だ。
借り物徒競走なのでペアの吉田君といる。
「姉御ー!!頑張って!!」
「姉御マジ可愛いっス!!」
やっぱり極使天馬の人達の声が聞こえてきた。
姉御はやめて!!
そう思ったが、とりあえず小さく手を振った。
自分の番がきた。
吉田君と並ぶ。
極使天馬の人達の声が聞こえてくるが、緊張して耳に入らない。
「朝日さん。」
吉田君が手を出してきたので、あたしは無言で握った。
パンッ――
始まった。
頑張って走るけど運動音痴のあたしはやっぱり遅い。
でも頑張った。
紙の所まで来るとあたし達は紙を拾う。
それを開くと、中には
"赤いもの"
とかかれていた。
二人は悩んでいた。
そして、ふと思い出す。
あたしは、ある所まで吉田君を連れて走った。
「誠也君っ。」
周りの人達に避けられるようにして藤崎先輩といる誠也君に話かけた。
「ハチマキ貸して。」
「………。」
彼はあたしがそう言うと無言で貸してくれた。
心なしか怒っている気がする。
というか、じっとあたしの手を見ている。
「ありがとう。」
あたしは笑顔でそう言うと吉田君と走り出した。
ゴールするとやっぱりビリだった。
退場すると、ハチマキを返すために彼の所へ向かった。