第16章 嫉妬とイジメ
もうすぐ二年生の徒競走。
赤ブロックの所に彼が並んでいる。
しかもダルそうに。
周りとは違ってノロノロと入場している。
「総長!!男見せてくたさい!!」
極使天馬の人達の野太い声援を浴びている。
あ…
彼が頭を掻いた。
誠也君の番がきた。
周りの人は大人しめで、彼と緑のハチマキを首にした三善先輩が目立っている。
彼に夢中で気付かなかった。
「総長!!三善さん頑張って!!気合いッス!!」
彼等への声援が聞こえてくる。
もちろん極使天馬の人の。
けれど彼等はダルそうに立っている。
まぁ、彼等が体育祭で張り切るわけがない。
パンッ―――
彼等を覗いて周りの人達ははしりだす。
二人は遅れてスタート。
もうだめだ。
そう思ったけどみるみるうちに追い付いていく。
というか、二人でぶつかりながら走ってる。
二人とも鍛えてるだけあって、足が速い。
あっという間にトップだ。
ギリギリの所で誠也君が前に出た。
そしてゴール。
勝負は誠也君が勝った。
三善先輩はちょっと悔しそうにしていた。
「総長!!感動しました!!マジ男ッス!!」
再び極使天馬の声が聞こえてきた。
また彼が頭を掻いた。
そして、退場する。
もちろんダラダラと。
でも、走ってる彼にはドキドキした。