第16章 嫉妬とイジメ
無事、体育祭が始まった。
予備の体操服に着替えたあたしは、グランドの黄色ブロックの席に座っている。
頭には黄色いハチマキを、時折風で二つに結ばれた髪が揺れる。
「朝日さん、最近彼氏さんとはどう?」
隣に座る吉田君が言った。
彼はあたしのペアだ。
「おかげさまで順調だよ。」
あたしは笑顔で応える。
「そっか、よかったね。」
吉田君も笑った。
「痛――。」
頭に何か当たった。
あたしは、後ろを振り向いた。
小石だ。
あたしはキョロキョロと周りを見た。
すると、千加の横で松崎君が小石を投げていた。
しかも、吉田君に向かって。
けれど、吉田君は気付かないのか振り向かない。
いや、違う。
気付いていて気付かないフリをしてるんだ。
あたしは、松崎君の方を見た。
"やめて"
声を出さずに口を動かす。
"やだ"
彼の口はそう動いた。
そして、舌を出された。
なんて子供なんだろう。
あたしは、怒って前を見た。
人を虐めるなんて最低だ。
なんだか腹がたった。