第15章 恋敵
バンッ―――
「なんなのよあの女!!」
美奈子がトイレの壁を蹴った。
ウェーブした栗色の長い髪が揺れる。
「ムカつくー!!」
麻央が拳を握った。
「あの態度、許せない!!」
早苗が地面を蹴る。
「あんた!!このままでいいの!?」
千加があたしを揺さぶった。
「うーん、別に。」
あたしは、あっけらかんと応えた。
「はぁ!?」
皆の声が重なった。
「だって、皆がいてくれるから平気だよ。」
みんな大事な友達だから。
「さくちん〜。」
「あんたって子わぁ―。」
皆が抱きついてくる。
「守ってあげるからね。」