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レッテル 1

第2章 転落




「イケメンならここにいるだろー。」

通路向こうの席でふざけ気味に松崎君が言った。

隣で山中君が笑っている。

「はぁ?ないない、ありえないから。」

美奈子があしらうように手を振っている。

それが面白くてあたしは笑った。

「笑ってんじゃねーぞブス。」

「はぁ?」

「笑うなって言ってんの朝日。どーせお前の彼氏も不細工なんだろ?お似合いじゃん不細工同士で。」

松崎君の一言にあたしはカチンときた。

あたしのことはどういわれても構わない。

だけど誠也君をバカにすることだけは絶対に許さない。

あたしは激しく松崎君を睨み付けた。

「あーあ、あんた知らないよ。」

「何が?」

「さくちんの彼氏誰かしらないの?」

「知るかよ。」

「二年…いや県内一恐いあの秋本先輩だよ。」

早苗の言葉に松崎君は一瞬驚いた顔をしたが直ぐに平常心をたもとうとしていた。

隣で笑っていた山中君もちょっと驚いている。

「だから?どうせ遊びだろ?直ぐに捨てられるのが落ちなんだよ。お前は。」

再び笑ながら松崎君は言った。

"遊び"

その言葉が胸に突き刺さる。

「そんなこと…。」

「無いて言えんのかよ?男は皆そうなんだよ、ばーか。」

松崎君はそこまでいうとガムをくわえた。

確かにあの時は"好きだ"って言ってくれたけど、本当にそれが本心だとは限らない。

もしかしたら今頃別の人と…。

そう考えるとますます不安になって胸が苦しくなった。

「さくちん、気にしちゃだめ。コイツの言うことはでたらめなんだから!!」

「ほー、飯田。証拠でもあんの?」

「無いけど!!あの先輩はさくちんにベタぼれなんだから!!」

「そうよ!!」

「はー、どうだか。」

松崎君は鼻で笑った。



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