第13章 悪夢
「んぅ…。」
目が覚めると知らない所にいた。
冷たいコンクリートの上で寝ていたようだ。
周りは何もないし、天井はずいぶん高い所にある。
そういえば、あたしなんでこんな所にいるんだろ。
白石先輩に呼び出されて、
駅で待ってて、
白石先輩が来て、
男って…
「男!?」
あたしは勢いよく起き上がった。
「桜ちゃーん、おっはよーん。つっても夜だけど。」
白石先輩が上から見下ろしてくる。
「…先輩…男だったんだ――。」
今まで相談した内容を思い出すと恥ずかしくなった。
「うん、そうだよー。女に見えたー?」
無邪気な表情で首を傾げている。
まるで子供だ。
しゃべり方も。
「…騙したんですか?」
「うん、そだねー。だって、可愛いんだもん。俺のプレゼントで泣いちゃってさー。」
「プレゼント?」
「そ、コ・ン・ド・ー・ム☆」
「………っ!!」
あたしは声にならない悲鳴をあげた。
あの時の事を思い出してしまう。
光景も。
臭いも。
「よかったでしょー?毎日、毎日君の事を考えてしたんだよー、写真見たりとかねー。」
写真!?
あれもこの人が!?
じゃあ電話も!?
「…気持ち悪――」
無意識に声が出ていた。
「何ー?何か言ったー?」
ニコニコと笑って白石先輩はしゃがんだ。
「…近寄らないで…。」
座ったまま後ずさる。
「んふ、パンツ丸見えー。黒かー、色っぽいねっ!」
「きゃっ!!」
白石はあたしのスカートを捲った。
あたしはとっさにスカートを押さえた。
恥ずかしさで顔が真っ赤になる。