第2章 転落
「来週合宿があるんだ。」
学校からの帰り道。
駅のホームで電車を待ちながらあたしは言った。
「…そういや去年俺等もあったな。」
「どんなんだった?」
「あんま覚えてねーけど…つまんなかった。」
誠也くんはそう言うと、火を着けたばかりの煙草をくわえた。
「なんで?」
あたしは彼の顔を下から覗きこんだ。
「なんでって………いや、なんでもねぇ。」
「?」
彼はチラリとあたしをみるとそっぽ向いた。
それが不思議で小首を傾げる
「まぁ………楽しんでこい。」
そんなあたしの様子に彼はクスリと笑うとワシャワシャとあたしの頭を撫でた。
そういえば先月の電話の日から彼の口数が増えた気がする。
前は、"あぁ"やら"ん"やら一言二言言うくらいだった。
なんだかそれが嬉しくてクスリとあたしは笑った。