第12章 手
「どうしたん?」
携帯を落としたあたしを不思議そうに千加が見た。
「あたし…病院に行かなきゃ!!」
勢いよく立ち上がる。
「おい、どういう事だよ。」
松崎君があたしの手を掴んだ。
「誠也君が…誠也君が…――。」
涙が溢れてくる。
「あいつがどうしたんだよ。」
「………刺された。」
「え…。」
その場にいた友達皆が目を見開いた。
「誠也が…死んじゃったらどうしよう…。」
声を出して泣いた。
まるで子供のように。
「死んじゃったら…――」
「来い!!」
松崎君があたしの手を引っ張って走り出した。
人の波を逆に切っていく。
「病院どこ?」
「市立病院…。」
「遠いな…タクシーで行くぞ。」
「うん…。」
人混みを抜けた所に出た。