第11章 夜空の花
「……クソやろうが!!」
「さっさとくたばれ!!」
二人は取っ組み合っていた。
周りの兵隊達が息をのんで見ている。
身長差はあるものの、どっちも負けてはいない。
「お前の女…可愛いんだってぇ…。」
額に青筋を浮かべながら中村が見下ろしてる。
「うるせぇ…。」
「俺も…抱きてぇなぁ…。」
中村の言葉に誠也君の瞳孔が開いた。
バコッ――――――
「ぐはっ―――」
中村の腹に誠也君の拳がめり込む。
その瞬間、中村が地面に手を着いた。
「…中村ぁ…誰を抱きたいだぁ?」
彼の瞳孔が開いた目が中村を捕らえる。
彼は間違いなくキレていた。
「俺の女を抱きたいだぁ?そう言ったか?」
「あぁ、いった!!」
立ち上がった中村が彼に殴りかかった。
けれど、彼はそれを片手で受け止めた。
「桜に指一本でも触れたり…」
バコッ――
「がはっ―――」
腹に拳が入る。
「すれ違ったり……」
バコッ―――
「うがっ―――」
顔面に頭がめり込む。
「息がかかっただけでも…」
バコッ―――
「かはっ―――」
顔面を殴って、中村が吹き飛ぶ。
「殺してやる。」
ゆっくりと彼が倒れた中村に近づく
「お前の仲間も…女も…家族も…」
「ひっ――」
「みんな…殺してやる。」
彼は中村の頭を掴んだ。
「わかったんかよ…中村ぁ…―――。」
誰もがその場で鬼を見た
誰もが震えた。