第11章 夜空の花
「この間はありがとなぁ…。」
多くの兵隊達が倒れている中、誠也君は呟いた。
生き残った兵隊達が彼と中村を見つめている。
「そのまま年少に送られりゃあよかったのによ…でてきやがったか。」
ボキボキと中村は首を鳴らした。
「しっかりとお礼してやんよ。」
誠也君もボキボキと腕を鳴らした。
二人とも血だらけだ。
「拓!!」
突然誠也君が叫んだ
「桜が一生懸命治してくれたやつだ。汚したくねぇ、持っててくれ。」
彼はそういうと特攻服上を脱ぎ、投げた。
「おう。」
藤崎先輩が受け取る。
「何カッコつけてんだテメェ、女にでも溺れたか?」
不気味な笑みを浮かべながら誠也君を見下ろしている。
中村の方が幾分背が高い。
「そんなんじゃねぇよ。」
「まぁ、いい。おい――」
「うっス!!」
中村も近くにいた仲間の兵隊に特攻服の上を脱いで渡した。
鍛えられた肉体が露になる。
「かかって来いや!!」
「上等だぁ!!」
二人は拳を上げた。