第11章 夜空の花
「このたこ焼きめっちゃうまい!!」
千賀がたこ焼きを頬張りながら言った。
「マジ?ちょっとちょうだい。」
「いいよ、はい。」
「…ほんとだ、うまい!」
美奈子が笑顔になった。
「イケメンいないかなぁ。」
麻央が辺りをキョロキョロ見ている。
「あれ?藤崎先輩は?」
不思議そうに早苗が聞いた。
「先輩好きな人いるんだって。しかも、中学の時から。」
「…え?」
あたしは持っていたリンゴ飴の入った袋を落とした。
「でも、諦めないけどね。ん?さくちんどうしたん?」
ボーッとしているあたしを麻央は不思議そうに見た。
「え?な…なんでもないよ。」
あたしは慌ててそれを拾った。
「そうなん?…でも一途とか本当かっこいいよね。」
「そうだよね。」
皆がワイワイ言って話している中にあたしは入れずにいた。
"この写真だけでも俺にちょうだい"
藤崎先輩の言葉を思い出した。
あれはどういう意味だろ?
何で誠也君から盗んだの?
あたしは不思議に思いながらも考えないようにした。