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レッテル 1

第11章 夜空の花




「俺、花火大会は行けねぇんだ。」

あの事件から数日後の事。
彼の部屋で頭を掻きながら彼が言った。

「え?」

あたしは不思議そうに彼を見た。

「その日は……県内の北側の族で抗争がある。」

「抗争?」

「族どうしで…張り合うんだよ。」

彼はあたしから目をそらし煙草を取り出した。

「どうしても負けられねぇんだ。」

彼の眉間にシワが寄った。

あぁ、そっか。
暴走族は大変なんだ。

「大丈夫だよ、あたし友達と行ってくるから…心配しないで。」

あたしはニコッと笑って彼の手を握った。

「桜……。」

彼は煙草を置いて顔を近付けてきた。

「…ダメ。」

その彼をやんわりと断る。

「…なんで?」

不機嫌そうに彼が言った。

「だって…あたし汚いから―――。」

橋田の事を思い出した。
ニヤニヤと笑う汚い顔。
吐き気のするような行為。
汚れたあたしの口で彼とキスなんて出来ない。

「………。」

「……っ!!」

彼は無言であたしにキスをした。

「……んぅ……。」

彼の舌かあたしの舌を捕らえようとさまよっている

チュ……

舌が絡み付いた。

「ん……。」

まるで彼の手のようで―――なんだか温かった。



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