第11章 夜空の花
「桜、こっちだよー。」
一時間ちょっと前。
黒とピンク色の花柄の浴衣を着たあたしは、待ち合わせ場所に来ていた。
「遅れてごめんね。」
「いいよ、いいよ。」
浴衣を着たいつものメンバーが笑って言った。
今日は、皆で花火大会に来ている。
「…っとあの、バカ彼氏はホントに役にたたないんだから!!」
携帯を開きながら早苗が言った。
どうやら彼氏が花火大会へ行かないと言ったらしい。
美奈子もそうだ。
そして、あたしも。
本当は一緒に行きたかった。
けれど彼には"仕事"がある。
だから仕方ない。
あたしは、青黒い空を見上げた。