第10章 嘘と助っ人
身体を犠牲にすれば彼を助ける事ができる。
あたしは迷っていた。
彼を助けたい。
助けたい。
あたしは彼の手錠を見て彼を見た。
"大丈夫だよ"
あたしは声を出さずに口を動かした。
「お前…―――。」
彼は目を見開いた。
「……わかりました。あたしが言うこと聞くかわりに彼を助けてくれるんですね?」
「考えてやらんこともない。」
不気味な笑いを浮かべている橋田をしっかりと見た
「やめろ!!
彼が叫ぶ。
「ダメだって!!そいつのいいなりになるな!!」
藤崎先輩達が叫んでいる。
「さっさと、その交渉とやらを済ませましょうか。」
「そうだな。後は頼んだ。
「は…はいっ。」
橋田は部下に誠也君を頼むと、あたしの肩に手を置いた。
そして、歩き出す。
「桜!!やめろ!!」
後ろから彼の声や先輩達の声が聞こえたが、聞こえないフリをした。
決意が揺らいでしまうから