第10章 嘘と助っ人
「証拠はあるのか?」
「……ねぇよ。」
悔しそうに三善先輩が唇を噛んだ。
「でたらめを言って捜査を撹乱するつもりだな?ま、お前らの話など誰が聞くかな?」
ハッハッハッと気持ち悪い声で笑った。
「誠也君を返してください!!」
「ん?」
「…だから、誠也君を返して!!誠也君はなにもしてないんです!!」
「ほぅ……。」
あたしが必死に叫ぶと、橋田はなめまわすようにあたしを見た。
「話を聞くから後で部屋に来なさい。」
「え?」
橋田の毛むくじゃらの汚い手が、あたしの肩に触れた。
「橋田!!テメェ、話が違うじゃねーか!!
「何の事だ?」
「自供したら桜には手を出さねぇって言っただろうがよ!!」
誠也君は吠えるように言った。
「そんなこと言った覚えはない。お前は勝手に自供したんだ。」
ニヤニヤと笑いなが橋田は彼を見た。
「クソが!!ぶっ殺す!!」
誠也君はもがいた。
がロープや手錠のせいでうまく動けない。