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レッテル 1

第10章 嘘と助っ人




「あがって。」

「あ、お邪魔します。」

町営住宅の一室。
先輩に手招きされながら中へ入った。

「入って。」

それほど広くない廊下を歩いて、部屋へ案内された。
中へ入ると、極使天馬の旗や特攻服。
CDや雑誌がある。
それに二段ベッドが1つ。

「弟と一緒の部屋なんだ。」

あたしは先輩の言葉に納得したように頷いた。

「あ…。」

あたしは、棚の上に置かれていた写真を見た。
極使天馬の人達が写っている。
藤崎先輩に、三善先輩、竹井先輩、大川先輩、そして誠也君が写っている。
それに、元幹部の人達も。
真ん中にいるのは上田さんだろうか。

じゃあ、その隣の女の人は…。

あたしは写真に写る女の人を見た。
楽しそうに上田さんと手を繋いでいる。
幸せそうだ。
そして、なにより笑顔が可愛かった。

「あぁ、それ。」

藤崎先輩が写真立てを手に取る。

「中2の時にとったやつ。」

先輩は笑みを浮かべながら言った。

「この時から誠也は君が好きだったんだ。」

「え?」

あたしは驚いた顔で先輩を見た。

「毎日君の写真持っててさ、ちょこちょこ眺めてた。それがさ、滝本先輩…あ、上田さんの彼女ね。その人にバレてさ、よくいじられてたよ。」

「写真?」

何の事か分からず首を傾げた。

「そ。中1の時に、掲示板に貼ってた写真が無くなったことなかった?」

「……あ。」

そういえば、中1の時に合宿ので千加と二人で写った写真が無くなった事があったっけ。

「それ、誠也が取ったんだよ。君の写真欲しさにね。」

先輩はそこまで言うと笑った。



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