• テキストサイズ

レッテル 1

第10章 嘘と助っ人




先輩の手は温かい。
大きくて、綺麗な指。
だけど、なにか違う。
傷だらけでゴツゴツとした手だけど、
いつも優しく包んでくれる手。
あたしはそんな手が好きだ。
たとえ同じような手があっても、あたしの好きな手はたったひとつ。
あぁ、彼の手が恋しい。

「乗って。」

改造されたバイクに股がりながら藤崎先輩は言った。
三段シートや日章カラーがないため、彼ほど派手ではないがマフラーが凄い。
あたしは、コクリと頷くと先輩の後ろに股がった

ブォンブォンブォン――――――

エンジンをかけると排気音が響いた。
そして、バイクは走り出した。

「………。」

走ってる最中、先輩は無言だった。
だから、あたしもなにも言わない。

あぁ、今頃彼は何をしているだろう。
ご飯をちゃんと食べているだろうか。
ひどい目にあっていないだろうか。

彼が暴行くわえたなんて絶対にあり得ない。

「ちょっと、寄りたい所あるんだけどよっていい?」

「え?あっはい。」

突然の先輩の言葉に慌てて応えた。




/ 1026ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp