第10章 嘘と助っ人
「アキの女もいい女だったけど、秋本の女も上物だな。」
石田さんが煙草を消した。
「あぁ、ゆかね。可愛いけどさ、性格がなぁ……。」
「いつも、アキ怒られてたよな。」
「"喧嘩ばっかりしてんじゃないっ"て。でもさ、あいつも死ぬとは思わなかったな。」
「今頃、あの世で一緒にいるんじゃね?」
「ならいいけどな。」
"アキ"ていうのは上田さんだろうか。
ゆかって人は彼女?
「つうか、秋本もあれ絶対ゆかの事好きだったよな。」
「え……。」
ズクン―――
胸が痛む。
「バカッ!!」
「いてぇ!!」
石田さんが山岡さんの頭を殴った。
「といっても、昔の話だからっ。」
望田さんがフォローしている。
「なんなら、俺が彼氏になってやろうか?」
南雲さんに顎を捕まれた。
「バカッ!!なんでいつもオメーはそうなんだよ!!恭!!」
「冗談だって…たぶん。」
南雲さんが笑った。
けれどあたしは笑えない。
誠也君の好きだった人…。
なんだか胸がもやもやした。