第1章 彼氏
「…で、彼氏に無視されたと。」
今日の出来事を全て棗に話した。
すると突然棗は笑いだした。
「何がおかしいの?」
あたしはきょとんとした顔で弟をみた。
「だってよ、お前男心全くわかってないじゃん。」
「へ?」
男心?
なんだかピンとこない。
「男はな、自分の惚れた女が他の男に見られるのが嫌なんだよ。」
「うん…。」
「ましてや、そんな格好だろ?見られるに決まってんじゃん。」
「でも、あたし可愛くないから誰もみないし……。」
「はぁ?」
「だから、あたしは―――」
言葉をいいかけると突然棗に顎を掴まれた。
「どの口がそんなこと言ってんだ?」
棗の真剣な眼差しがあたしの眼に突き刺さる。
同じ顔。
全く同じというわけではないが、
双子だからよく似てる。
こんなのいけない事だけど…ドキドキする。
「お前は俺に似て可愛いんだよ。」
そう言って、唇が段々近付いてきた