第8章 裏切り者
「じゃあ、俺等用事あるから気をつけて帰れよ。」
バイクに股がって誠也君が言った。
用事。
たぶんきっと彼等を…。
あたしはその事について聞かなかった。
「誰か助けて!!助けてくださいっ!!」
「嫌だっ!!恐い!!助けて!!」
バイクに鎖で繋がれた宮元君達が泣きながら叫ぶ。
酷く怯えているようだ。
顔が原型をとどめていない。
「黙れ糞ガキ共が!!自分でしたことのケジメつけんか!!われぇ!!」
ドスの効いた声で大川先輩が叫んだ。
「すいませんっ!!ごめんなさい!!クスリもう止めるから!!」
「ぁあっ!?極使天馬の看板汚しといてすいませんだぁ?今さらおせぇーんだよ、バカが!!」
三善先輩が宮元君の髪を掴んだ。
「お前等一回死んどけ。」
「……っ!!」
彼は手を離すと顔面を蹴飛ばした。
「すびばせん…すびばせん…すびばせん…。」
お経のように宮元君は唱えている。
「っ!!」
あたし達五人は声にならない悲鳴を上げながら見ていた。
「ほら、女の子達恐がってる。」
藤崎先輩はニコッと笑った。
でも目は笑ってはいない。
「後で電話する。」
「うん。」
「行くぞテメェ等!!」
誠也君がバイクを走らせると沢山のバイク達がそれに続いて行った。