第8章 裏切り者
「…すごかったね。」
美奈子がボソリと呟いた。
「でも、大川先輩ちょーかっこいい!!けー番ゲット♪」
携帯を片手に千加が騒いでいる。
「マジでいってんの?」
早苗はあきれている。
「あたしも藤崎先輩の番号ゲット♪」
麻央も騒ぎ始めた。
あたしは四人を笑いながら見ていた。
それよりも、宮元君達は今から想像出来ない程の事がおきるんだろう。
自業自得といえば自業自得だが、本当に極使天馬の恐ろしさを感じる。
普段はあんなに優しい人達なのに、怒ると本当に恐い。
彼等を怒らせてはダメなんだ。
……絶対に。
あたしは、彼等が去った方を見つめた。
太陽が沈んで月が目を覚ましている。
「どしたん?」
皆が心配そうに覗いてくる。
「ううん、別に。」
「なら、カラオケ行こっ。」
皆は月に向かって歩き出した。