第8章 裏切り者
「これ知ってる?」
小さい袋をちらつかせる。
「…いっいいえ。」
あたしは顔を横に振った。
「気持ちよくなるクスリ…。」
そういって、彼は飲み物に入れた。
もしかしてこれって…
誠也君の言ったことばを思いだした。
「飲んで。」
彼が差し出して来る。
「いっいらない!!」
五人の声が重なった。
「離して!!」
千加が叫んだ。
「あんたマジキモイ!!」
麻央がもがいている。
「なんなん!?」
早苗が振り払っている。
「帰る!!」
美奈子が立ち上がった。
「飲めよ!!」
宮元君がグラスを押し当ててくる。
「飲めって言ってんだろ!!」
押し倒された。
「やめて!!」
「飲まねぇんなら、そのままやってやる!!」
彼はベルトを外した。
やだ。
恐い。
こんなんなるんだったら彼に嘘なんてつくんじゃなかった。
あぁ…これは罰だ
罰なんだ。
あたしは諦めて目を瞑った