第8章 裏切り者
VIPルーム。
極使天馬の彼等はそこへ入れる。
中に入るとテーブルを囲んだでかいソファーに座って、皆軽く自己紹介した。
それからペアに別れる。
「総長の彼女とかマジ驚いた。」
赤紫色の髪をワックスで整えた男の人が隣に座った。
確か宮元(みやもと)とかいう人だ。
「え…あっはい。」
あたしは適当に挨拶する。
それどころではない。
彼にばれたら殺される。
彼等が。
彼は絶対にやるひとだ。
「でも、可愛いね。」
彼があたしの肩に手を置いた。
「そんなことないです…。」
あたしはやんわりてをのける。
「なんか、タメに見えねぇ。連れないとことかマジそそる。」
耳元で囁かれた。
そして手を足に置かれた。
何この人…
キモチワルイ。
整った顔立ちの人だけどなんかおかしい。
「足スベスベ、パンツ何色?」
スカートの中に手が侵入してくる。
「どっどこの高校なんですか?」
その手もやんわり振り払った。
「西康…。」
耳元で囁かれた。
ゾクゾクと背筋に悪寒が走る。
帰りたい。
そう思うけど、皆が楽しそうなので帰れない。
「つか、気持ちよくなれるもん飲まない?」
「え?」
「いいから。」
彼はポケットに手を入れた。