第8章 裏切り者
「……で、お前等何しに来た?」
真剣な表情で誠也君が言った。
ベットで胡坐をかいて座っている。
「……実は……。」
あたしはゴクリと息を飲む。
「薬を使った奴は1人じゃないらしい。」
竹井先輩が携帯を触りながら言った。
「どういうことだよ。」
「見ろ。」
彼は携帯の画面を誠也君に向けた。
あたしからは見えないが、良くないことはわかる。
何故なら、誠也君の顔が険しくなったから。
「昨日、帰った後に俺の後輩の奴から送られて来た。時間は2時頃。集会の後に行ったに違いねぇ。」
「顔が見えねぇのがあれだが、うちの者(もん)だな。」
先ほどとはうってかわって真剣な表情の三善先輩が言った。
一気に空気が重くなる。
「しかも、相手は岩中興業の奴か?」
「あぁ。」
「厄介だな。」
大川先輩が溜め息をついた。
「松下の野郎…内側から潰しにかかりやがって…きたねぇ!!ぶっ殺す!!」
誠也君はおもいっきり立ち上がった。
「まてまてまて、今行っても何にもならねぇ。」
藤崎先輩が宥める。
「とにかく、磐梯からの情報を待とう。」
皆は頷いた。