第8章 裏切り者
極使天馬に裏切り者が出た。
あたしは、それがどれだけ深刻なことかわからなかった。
「お前も薬なんかに手出すんじゃねぇぞ。」
バイクを走らせながら誠也君が呟いた。
「うん。」
彼の背中に身を寄せながら頷く。
「誠也は彼女に手出すんじゃねーぞ?」
「…はぁ?」
大川先輩の言葉に誠也君は間抜けな声を出す。
「いつもスケベな事やってんじゃねーの?」
三善先輩がバイクを隣に走らせて言ってくる。
「ギャハハハハ、言えてる。ちゃんと避妊してっか?」
西村先輩も続いた。
「うるせー、してんよ!!」
「ホントかよ!!」
周りの人達が騒いでいる。
あたしは恥ずかしくなって顔を彼の背中に埋めた。
男の人は何で平気でこんな話できるんだろ。
いや、あたしの友達もそうだけど、なんか恥ずかしい。
「つーか、彼女可愛いけど手出せんしなーーー。」
「あ?」
誠也君が三善先輩を睨み付ける。
「うそうそ、出さねーよ。おーこわこわ。」
「たく、どんだけ彼女命なんだよ。」
みんなが笑った。