第8章 裏切り者
「さて、こっからが本題だ。」
誠也君はさっきとうってかわって真面目な顔になった。
「タケ、情報はホントなんか?」
そして、鋭い目付きで背が低く黒髪のパンチパーマの竹井 功(たけい いさお)先輩に言った。
「あぁ、間違いねぇ。」
「たく、裏切りもんが―――。」
スキンヘッドで大柄の大川 治男(おおかわ はるお)先輩が腕をくんだ。
「しかし、間違えじゃねぇんか?うちの者にかぎって―――。」
紫色の反り込みを入れた三善 翔真(みよし しょうま)先輩が頭を掻いた。
「いや、間違えねぇ。情報は確かだ。…つーか、俺の情報が外れた事があったか?」
「ねぇな。……クソッ。」
三善先輩は近くにあった椅子を蹴飛ばした。
あたしは話に全くついていけなかった。
というか、ここにいて良いんだろうか。
「タケ、下ん中で一番信用出来るん誰だ?」
「…特攻の嶋中だろうな。」
「でも、あいつは――。」
「翔、わかってる。あいつは気が短けぇからな…。」
誠也君が頭を抱える。
「ならあいつは?」
「誰だ?」
「偵察の磐梯(ばんだ)。」
藤崎先輩は思いだしたように言った。
「まぁ、そいつなら大丈夫だろ。……呼び出してみる。」
竹井先輩は電話をかけ始めた。