第8章 裏切り者
「最近…族のなかで薬(やく)が出回ってるらしい。」
今は使われていない古い倉庫。
それが彼等の溜まり場。
でかい黒光りのソファーに座る誠也君が言った。
周りには幹部の人たちがたっている。
「純トル、S、パケ(覚醒剤)、大麻…それにシンナー。一般人にも捌いてる。」
続くように藤崎さんが言った。
「俺等の決まり…わかってんだろうな!!てめぇ等!!」
「うっス!!」
紫の反り込みの入った男の人が叫ぶと、並ばされている人達が叫んだ。
声が反響する。
「一回でも使った者、売った者…持った時点でただで済むと思うな!!」
「うっス!!」
「俺達は仲間だ、家族みてぇなもんだ。だから、一人でも間違った者を出すな!!いいか!?ぜってぇに、クスリなんかに溺れんじゃねーぞ!!」
誠也君は固い拳で足を叩いた。
隣で座って聞いていたあたしはちょっと驚いた。