第8章 裏切り者
ブォンブォンブォン―――
けたたましい音が夜の国道に響く。
道行く人々が彼等を避けた。
車の進行も阻止される。
「どけどけどけー!!」
紫の旗を持った男が叫ぶ。
旗にはデカデカと"極使天馬"と書かれている。
ブォンブォン―――
何十台…否、百台以上ある改造されたバイク達の排気音。
光輝くライト。
そして、紫の特効服。
それを知らない者は誰もいない。
「大丈夫か?」
「うん。」
先頭を走るあたしの彼氏。
今、あたしは彼のバイクの後ろに股がっている。
今日、初めて彼が集会に連れてきてくれた。
なんだか、夜風が気持ちいい。
「誠也!!」
斜め後ろを走る藤崎先輩が叫んだ。
「なんだぁ?拓。」
「イチャついてんじゃねー!!」
「……っせぇ!!」
「ギャハハハハ!!」
藤崎先輩の横を走ってる西村先輩が笑った。