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レッテル 1

第7章 タイマン




「まって!!」

校門を出ようとした彼を止めた。
いっぱい走ったせいで苦しい。
でも、一番苦しいのは彼とこのまま終わってしまうこと。
そんなの嫌だ。

「ま…って、誠也君!!」

肩を上下に動かしながら再び彼を呼んだ。

「………。」

彼は足を止めた。
けれど振り向かない。
ずっとうつむいたままだ。
なんだか彼の背中が小さく感じる。

「…ごめんね、あたしが悪い――。」

「…お前は悪くねぇよ…。」

ボソリと呟いた。

「……俺、お前の前で…キレると見境なくて…。」

「誠也君…。」

「…俺はお前といる資格ねぇよ…。」

彼は拳を握った。
ワナワナとその拳は震えている。

「…資格とかそんなの関係ないよ!!」

初めてそう言ってくれたのはあなただった。

本当はいっぱい傷ついているのに、

あなたは笑ってた。

こんなダメなあたしを好きだと言ってくれる。

大事だと言ってくれる。

距離を置こうと言ったのも、

嫌いと言ったのもあたしだけど、

やっぱり一緒に居たいよ。

「あたしは一緒に居たい!!誠也君はあたしと一緒に居たい?」

「いてぇに……決まってんだろ…。」

「なら一緒にいて!!否、いてください。」

あたしは、頭を下げた。


あ…

これあの時と同じだ。

「…俺こそ…お願いします。」

彼も振り向いて頭を下げた。




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