第7章 タイマン
「逃げねぇ、俺はガキ扱いするこいつが許せねぇ。」
「でも!!」
「俺の事心配してくれんの?俺に惚れた?」
「はぁ?んなわけないでしょ!!」
「そっか。」
松崎君は苦しそうに笑った。
「ごちゃごちゃうるせぇ。」
誠也君はすでに彼の目の前に迫っていた。
大きな手がミシミシと松崎君の首に食い込む。
「…っ…は…なせ…。」
必死に松崎君は抵抗するが彼の手は離れない。
「誠也君!!やめて、死んじゃう!!」
あたしが叫んだが彼は聞こえてないようだ。
「放せって言ってんだよ!!」
松崎君は彼のお腹を蹴飛ばした。
けれど、全然効いていない。
「てめぇ、なんだ今のは?蹴りっていうのはこうやるんだよ!!」
ドコッ
物凄い音がした。
彼が松崎君の頭を掴みお腹に膝蹴りしたのだ。
「……ゲホッ…ゴホッゴホッ…。」
咳と共に血が出る。
松崎君は地面に手をついた。
「あ…やめ…。」
あたしは初めて見る光景に恐怖を感じた。
一度だって誠也君があたしの前で暴力を振るったことはない。
けれど今は周りが見えていない。
そんな彼が恐くなった。