第7章 タイマン
「朝日っ。」
彼の舌が、手が、あたしをかきみだす。
何も感じない。
いくら彼に誠也君を重ねても、やっぱり彼は誠也君とは違う。
彼は意地悪だけど、あたしを好きだと言ってくれる。
そんな彼を利用していいの?
「やっぱり…こんなの良くねぇ。」
彼の手がスカートの中へ誘おうとしたとき、彼は手を止めた。
「…え?」
「今のお前は俺を好きじゃない。そんなんで抱いてもうれしくねぇ。」
「松崎…。」
「それに…お前は絶対俺を好きになる。それまで待ってる。」
彼はニィッと笑った。
ドキっとした――
ホントに
あたし最低だ。
「………やっぱりテメェか。」
唸るような声が聞こえた。
あたしと松崎君は声の方を見た。
「桜に手だしやがって……ぶっ殺す!!」
そこには誠也君がいた。
ボキボキと腕を鳴らしながらゆっくりと彼が近づいてくる。
やばい……本気だ。
「逃げて!!」
あたしは松崎君に言った。