第7章 タイマン
「見て。」
「あ……。」
2年6組の教室。
騒ぐ女の先輩達や男の先輩がいる。
その人達に避けられるように彼はいた。
窓際の一番後ろの席で、机に顔を埋めている。
まるで死んだかのように。
「君が距離置くって言った日からずっとああなんだよ。まるで死体みたいだろ?」
「……。」
あたしは黙って見つめた。
「飯も食わねーし、煙草も吸わねぇ。ずっと、君の名前呼んでる。」
「………。」
「何があったかしらないけど…あいつを許してやってくれねぇかな?多分悪気があったんじゃないと思う。根は優しい奴だから。」
「…知ってます。」
うつむきながら応える。
「じゃあ…」
「でも、今は一緒にいたくない!!誠也君を好きになれない!!」
あたしは叫んだ。
一斉に周りの人の視線を浴びる。
「……あっ。」
誠也君が此方を見た。
驚いた顔をしている。
それになんだか窶れている
「嫌い!!」
そう言ってあたしは走った。
「桜ちゃん!!」
藤崎先輩の呼び止める声がした。
けれど無視して走った。
嘘をついた。
ホントは好き。
大好き。
でも素直になれない。
距離を置こうと言ったのは自分だ。
だからこのまま別れても仕方ない。
それは本心?
わかんない