第58章 魔王と捕らわれ姫と裏切りとそして守る者
「なんや、その態度は。それが人に頼む態度か?ワシと同等やと思っとんのか、おどれは。」
そんな宗次郎さんを江田は激しく睨み付けていた。
「ならば、土下座でもすればいいのか?」
江田の前まで来た宗次郎さんが、ゆっくりと床に膝をつこうとしている。
「なんや、おどれは極道の誇りもないんか?こんな小娘に溺れて、腰抜けやのぅ。」
江田が鼻で笑った。
「…そう見えるか?」
宗次郎の口角がつり上がった。
「なん―――」
ドガぁッ―――
「ぶぐっ――あッ―――。」
江田の顎に宗次郎さんの拳がめり込んだ。
顔が上を向く。
「…極道の誇りはある。ただ、人を想う気持ちが強いだけだ。」
江田に鋭い視線を当てながらボキボキと利き腕を鳴らした。
「この小娘がどうなっても―――」
バキぃッ―――
花村の顔面に重たい拳がめり込む。
ドザぁッ―――
床に倒れこんだ。
「銃で脅せば怯むって考えが気に食わねぇッ!!」
いつの間にか花村の目の前にいた誠也君が吐き捨てるように言った。