第58章 魔王と捕らわれ姫と裏切りとそして守る者
「女の涙ほど気分がええもんわ無いわ。」
また、ニヤニヤと笑った。
それを皆が睨み付けている。
あたしは涙を流しながら誠也君に目を向けた。
彼もあたしの方へ目を向けた。
"ダイジョウブダ、ゼッタイタスケルカラ"
彼の口がそう動いたように見えた。
あたしはコクリと頷く。
「さて、取引しようやないか。この娘解放する代わりにそのクソ若の命(タマ)を貰う言うんはどうや?ええ商談やろ?」
……え?
あたしは宗次郎さんを見た。
タマ?
なんだかわからないけど、よくないことだけは分かる。
なぜなら皆の顔が険しいからだ。
ただ一人を除いて。
「下らんな。そんな商談のむと思うか?それよりも隠れてないで出てきたらどうだ。裏切り者……いや―――」
白川が銃口を入り口へ向ける。
「……花村。」
ゆっくりと口を開いた。