第57章 屈強な男達の闘い
ドガッ―――
お互いの頭が衝突し合う。
ジリジリと額で押し合いながら睨み合っている。
「おどれ…誰や…ねん。」
「人に名前……聞く…時は普通ジブンから名乗る……もんだろう……がッ!!」
バコッ―――
「ぐっ―――」
男の膝頭が加藤の腹に入った。
「岩中組若頭補佐の……加藤道信……やッ!!」
ぼコォッ―――
「がっ―――」
今度は加藤の膝頭が男の腹に入る。
ズササ――
二人は離れた。
「滝田組若頭、滝田裕巳……だ。」
滝田が鼻から出る血を拭った。
黒のジャージにボタボタと血がたれている。
「さよか。……誰やろうと先へは行かせへんわ。」
加藤も血を拭う。
「そっか、先とか興味無いけどな。」
鼻で笑っている。
「どういうことや?」
ジッと睨み付けている。
「俺等は所詮、誘き寄せる駒にしか過ぎないって事だ。」
赤く染まった歯が剥き出しになった。