第57章 屈強な男達の闘い
「お前は犬か。」
男が鼻で笑った。
「だから番犬言うてるやろがッ!!」
シュッ―――
再びドスが空気を切る。
ガシッ―――
カンッカランッ―――
ドスが地面に落ちた。
一瞬状況が理解出来なかった。
気付けば加藤の腕を男が握っていたのだ。
ミシミシとそこが音を立てている。
――コイツやっぱりただ者やない。
そう思いながらあいた拳を相手の顔目掛けて打ち込む。
バシィッ―――
それも受け止められた。
「おどれ……やるのぅ。」
赤く染まった顔にある光る目からジッと男を見つめた。
「まぁ、これでも若頭なんでな。」
「さよか。」
グシャッ―――
「ぶふぅッ―――」
男の顔に加藤の頭がめり込んだ。
鼻から血が吹き出る。
「手つかわれへんなら、ドタマ使えばエエんやッ!!」
ニヤリと加藤が笑った。
「死に損ないが……。」
ギリギリと男が奥歯を噛み締めた。