第57章 屈強な男達の闘い
何とか半分以上を倒した頃、加藤は血に染まっていた。
返り血に自らの傷口から出る血。
様々な血が彼を死の色に染めている。
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…。」
肩を大きく揺らしながら加藤はあるところを見ていた。
その目線の先にいるのは、一人の男。
漆黒の髪を揺らしながら、その者もまた加藤を見ている。
「あれが大将か。」
加藤はそう呟くと、その者へ足を進めた。
ザッ―――ザッ―――ザッ―――
草履が地面を擦っている。
男はジッとそれを見ていた。
「おどれが……大将か?」
息を切らしながら男の目の前で言葉を吐き出した。
「大将?…まぁ、違うがこの中ではそうなる―――」
シュッ―――
男が言い終える前に、加藤のドスが空気を切った。
タラリ――
男の頬から血が線を描いた。
「聞いといて……いきなりか。」
眉間にシワを寄せながら加藤を睨みつけた。
「ワシの鼻が、おどれは危険やと言ってんで?」
ニヤリと口角がつり上がった。