第57章 屈強な男達の闘い
「今、勝ったって思ったやろ?」
相手の口から出た言葉に驚く間もなく、畠中の身体は宙を浮いていた。
ドサァッ―――
「カハッ―――」
ガチャガチャガチャ―――
激しく背中からアスファルトに叩きつけられた。
あまりの衝撃の為、口から唾液が吐き出される。
手に持っていた拳銃は地面の上を転がっていった。
「間合いがなくても避ける術なんていくらでもあんのや。」
ぐっと手を伸ばしながら上から上谷が見ている。
「そうだな。」
畠中はそう言うと立ち上がった。
鉄のはいった重たい上着を脱ぎ捨てる。
ドザッ―――
上着が鈍い音を立てた。
「やっぱり鉄入りかよ。」
上谷がそれを見ている。
ドガッ―――
その隙に顔面を拳で殴った。
「ぶっ―――」
上谷が鼻血を吹き出す。
「ちょ、ま――卑怯やろッ!!」
鼻を押さえながら畠中を見ている。
「余所見している奴が悪い。俺等の世界で卑怯な手は当然だろ。お前等の大将みたいにな。」
「江田のおじきのことかぁ、いやそれ言われたらかなわんわ。」
ガシガシと上谷は頭を掻いた。
そして、構える。
「ま、とりあえずお前を殺って次に進むわ。」
上谷が拳を上げた。